何気ない日常

親の家の片づけ その3 - 相続税 -

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自分とは関係ないと思っているあなたへ

「相続税なんてお金持ちの話でしょ」と思っているあなた。

平成27年の税制改正によって相続税は非常に身近な問題になりました。

まずは自分に関係ないかどうかを確認するためにも一読してみることをお薦めします。

 

親の片づけに何故相続税?

本来は断捨離の一環として親の家の片づけについてまとめるはずだったのですが、その途中で親の家を片付けるきっかけについて考えてみました。

両親ともに健在で、その家を片付けるならば直接相続は関係ありません。

しかし、親の家の片づけは生前整理の一つであり、その生前整理にはエンディングノートや遺言書の存在が欠かせません。

また、片親、もしくは両親が亡くなって家を片付けるならば、親の家を片付けるのと並行して相続の作業を進めなければなりません。

そのための基礎知識として、基本的な相続の考え方と、その補足をまとめてきました。

そこで、今回はそこからさらに踏み込んで相続税についての基礎知識をまとめてみます。

 

相続についてさらに細く

マイナスの財産の相続について

前回の記事の中で、法定相続人における法定相続分についてまとめてみました。

その中でマイナスの財産が多い場合には相続放棄をするといった簡単な内容を書きました。

ここではもう少しだけ細かい説明をします。

借金の相続分について

これまで遺言書がある場合、それにしたがって遺産を分割すると説明してきました。

また遺産分割協議で遺産配分が決まった場合も同様です。

ですが、借金の相続分については少し事情が異なります。

遺言書、あるいは遺産分割協議で誰がプラスの財産を受け継いだとしても、それに関係なく借金は法定相続分に従って割り当てられます。

具体的に言うとたとえばプラスの財産が2000万円、マイナスの財産が1000万円あり、法定相続人が配偶者と長男と長女の3人だったとします。

それが遺言、あるいは遺産分割協議で長男がが2000万円を相続することとなりました。

その場合、1000万円の借金は誰が返済するのでしょうか?

普通に考えれば2000万円を相続した長男に返済義務があるように感じます。

しかし、実際にはこの1000万円は法定相続分に従い、配偶者が500万円、長男と長女が250万円ずつの返済義務があります。

一件すると不合理な感じがしますが、ここではお金を貸している側の立場から考えます。

上の例でいえば、2000万円を長男が相続し、1000万円の借金を長女が相続したと仮定して、もしも長女が何の財産も持っておらず返済が不可能だからと言って自己破産をしたとしましょう。(実際にこういう理由で自己破産が認められるかどうかは別にします)

これはお金を貸した側から言えば、2000万円という財産があるから安心してお金を貸したのに、相続によって回収が不可能となってしまうことを意味します。

このような貸した側にとって不利な状況にならないように、法定相続分に従って各相続人に借金を割り当てるようになっているのです。

相続権の移動

これについても前に説明したのですが、法定相続人は配偶者と直系卑属、直系尊属、それらがいない場合には兄弟姉妹。その子供まで代襲相続によって相続人となると説明しました。

また、相続放棄によって、その法定相続人はいないモノとして扱われるという事も説明しました。

実はこの2つを合わせると恐ろしいことが起きる可能性があるのです。

例えば、被相続人には配偶者と長男と長女、両親、兄と姉がいたとします。

この被相続人が1000万円の借金のみを残して亡くなったとします。

配偶者と直系卑属である、長男、長女はその事情を知っていれば当然相続放棄をします。

もしも長男、長女に子供がいたとしても、そもそも長男と長女はいなかったものとして考えられるので、被相続人の孫にあたる子供たちには代襲相続は行われません

そして両親のもとにもそのことが伝えられ、両親も相続放棄したとします。

しかし、もしも被相続人の兄と姉には連絡が行かなかった場合、3か月以内に相続放棄の手続きがとられなかったため、突然500万円ずつの借金を背負わされることになります。

仮に既に兄が亡くなっており、その子供が2人いるならば、その子供たちが250万円ずつの借金を背負わなければなりません。

要はおじ、おばの借金を何も知らなかったがゆえに突然背負わされる可能性があるのです。

これまで何回も法定相続人を確定するために戸籍を調べると言ってきましたが、これは単に遺産分割協議書のハンコを集めるだけが目的ではありません。

万が一マイナスの遺産を相続することになった場合、法定相続人全員で相続放棄をしなければ、残った法定相続人に借金が行ってしまうのです。

そういった状況を避けるためにも戸籍は事前に集めておいた方がよいと薦めてきたのです。

相続する財産の遺留分

遺言書あるいは遺産分割協議によって、ある特定の人物(複数でも構いません)が遺産のすべてを相続したとします。

この場合でも、配偶者および子供については最低限の財産を相続する権利があります。これを遺留分と言います。

これは法定相続割合にさらに2分の1をかけたものとなります。

例えば、配偶者と息子3人がいたとして、長男がすべての財産を相続したとします。

この場合配偶者は本来の法定相続分である2分の1のさらに2分の1、つまり全体の4分の1を長男に対して請求することが出来ます。

また二男、三男については法定相続分である2分の1×3分の1にさらに上記の2分の1を掛けた値、つまり12分の1を長男に対して請求できます。

要は家族がいるのに誰か一人がすべてを相続して独り占めすることが無いように、最低保証額が認められているという事ですね。

念のために書いておきますが、直系卑属がいない場合には配偶者と直系尊属が遺留分の請求ができ、直系尊属は法定相続割合に3分の1をかけた額を請求できます。

兄弟姉妹については遺留分は認められていません。

多分相続そのものについての基礎知識はこれくらいでいいと思います。

そこで一休み。

長女画伯作

konbu

 

相続税について

基礎控除

文頭で書きましたが、平成27年の税制改正によって相続税に関してかなり大きな変更がありました。

その筆頭にあげられるのがこの基礎控除の変更です。

基礎控除とは親の財産がある一定の額までは相続税を納めなくてもいいという最低限の額のことで、この額を超えると相続税の納付義務が発生します。

改正前:5000万円 + 法定相続人の数 × 1000万円

改正後:3000万円 + 法定相続人の数 × 600万円

となりました。(つまり今までの6割までしか基礎控除が認められなくなったという事です。)

これが相続税は他人ごとではないといった理由です。

以前は例えば配偶者と子供が2人の家庭であれば、5000万円 + 3 × 1000万円 でしたから8000万円以下の財産を残されたのであれば相続税を払う必要はありませんでした。

しかし、現在同じ状況の家の場合、3000万円 + 3 × 600万円で4800万円以上の財産を残された場合、相続税を支払う義務が生じます。

その差額3200万円。非常に大きなお金だと思います。

このように基礎控除額が変わったことによりより多くの人が相続税の支払い義務を負う可能性が出てきたのです。

一般に報道などで聞くところによると改正前に比べて改正後の相続税適用者は1.5倍にも増えているそうです。

税率

税額の計算には下の速算表を使って計算します。

改正前:
法定相続分に応ずる所得金額 税率 控除額
1000万円以下 10% 無し
1000万円~3000万円以下 15% 50万円
3000万円~5000万円以下 20% 200万円
5000万円~1億円以下 30% 700万円
1億円~3億円以下 40% 1700万円
3億円~ 50% 4700万円
改正後:
法定相続分に応ずる所得金額 税率 控除額
1000万円以下 10% 無し
1000万円~3000万円以下 15% 50万円
3000万円~5000万円以下 20% 200万円
5000万円~1億円以下 30% 700万円
1億円~2億円以下 40% 1700万円
2億円~3億円以下 45% 2700万円
3億円~6億円以下 50% 4200万円
6億円~ 55% 7200万円
この表を見ても何が何やらわからないかと思います。

この表の使い方は次のようになります。
  1. 被相続人の財産を確定する(プラスの財産もマイナスの財産もすべて含む。この時点で財産目録が大変重要になります)
  2. 1から葬式費用や借金を引く
  3. 2から先ほど出てきた基礎控除額を引く
  4. 3の結果がプラスならば、それを法定相続人が法定相続分で分けたと仮定して1人当たりの金額を計算して、それに上の表の税率をかける。
となります。

例えば、被相続人の(プラスの)財産が15000万円、借金が5000万円、葬式の費用が500万円、法定相続人が子供2人だけだと仮定します。

これを上の順番で計算していくと
  1. 被相続人の財産がプラスが15000万円、マイナスが5000万円。
  2. 15000万円 ー 5000万円 - 500万円 で9500万円
  3. 基礎控除額は3600万円 + 600万円 × 2 で4200万円。これを2からひくので5300万円。
  4. プラスの値なので、これを子供二人で分けたとして2650万円。これを上の表の税率と控除に当てはめて2650万円×15% - 50万円 で347万5千円
となります。

4で使っている控除の額は基礎控除とは違って、税率をかけて出た相続税の値から直接引くことのできる額を表しています。

小規模宅地等の特例

親から持ち家を相続する場合、その土地と家の評価額を直接上の計算で求めるとかなりの割合で相続税を払う必要が出てきます。

(特に都内の一戸建ての家を持っている場合など特に危険です!!)

このような場合に相続税を払うことが出来ないとその土地と家を手放さなければなりません

(実際にそういうケースもあるようです。)

ですが、国の方でも一応そこら辺のことは考えてくれています。

それが小規模宅地等の特例と呼ばれるものです。
土地の用途 評価減割合 適用面積
被相続人等の事業用の土地 80% 400㎡(約120坪)
被相続人等の居住用の土地 80% 330㎡(約100坪)
被相続人等の貸付用の土地 50% 200㎡(約60坪)
例えば評価額が1億円の居住用の土地を持っており、それが100坪以下であれば80%評価額を減らすことが出来るので2000万円の財産として扱うことが出来るのです。

相続税を申告しなかった場合

上記のような計算を持って相続税を払う義務がある人は、被相続人の死亡日の翌日から10か月以内に相続税の申告をしなければなりません。

これは確定申告などと違って、申告書が自動で送られてくるわけではなく、自分で申告書などを取りに行き、自分で計算したうえで申告しなければなりません。

ここでいう申告書の提出先は被相続人の住所を管轄する税務署です。

例えば、子供が独立して他県に住んでいる場合でも、亡くなった親の住んでいた住所を管轄する税務署に申告しなければなりません。

ここで気を付けてもらいたいのが、相続税の申告をしなかった場合です。

税務署では過去の所得税のデータなどをもとに相続税を払う必要のありそうな財産をたくさん持っている人を必ず探し出します。

いわゆる「税務調査」というやつです。

この税務調査の対象になると、どうやって調べるのかわかりませんが、どんな財産も必ず調べ上げられます。

もしも申告期限の10か月を過ぎてから申告をすると「期限後申告」と言って「無申告加算税」というものを余分に払わなければなりません。

また、税務調査が入って、申告した税額が少なかったことが判明すると「過少申告加算税」というものも払わなければなりません。

このように正確な税額を知って、それに従って適正な申告を行わないと、税務署に支払う額がどんどんと跳ね上がっていきます

こういった点からも平成27年の税制改正について詳しく知っておく必要があるのです。

 

総括

今日のところはとりあえず、相続税が身近なものになったのだというところまでを説明しました。

これから先は実際に相続税を払わなければならないような人がどのように節税対策をしていけばよいかの話になります。

ですが、さすがにここから先をまとめようとすると本が一冊書けるくらいのボリュームになってしまいます。

(私もそこまでは詳しくありません。知っているのは養子縁組をすると節税になるという事、生前贈与がしやすくなった事くらいです。もしもご要望があればそこら辺についても今度まとめてみます。)

まずは、親が亡くなった時に自分が払うべき相続税を事前に調べておいて、もしも気になるようならば税理士に相談してみてください。

ただし、節税対策の多くは親が亡くなる前に行わなければなりません

せっかく親の家の片づけの話のついでに相続税についても知っていただけたので、気になる方は先延ばしにせずにすぐに税理士に相談するか、自分で相続税について調べてみてください。

親の家の片づけと同様に、相続もいつか必ずやってくる問題です。

相続についてもめることなく、相続税を払わずに済むならばそれに越したことはありません。

今すぐにでも相続について考えてみてください。

 

相変わらずの長文でした。ここまで読んでくださりありがとうございました。

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